「フロントガラス」交換にピアノ線が必須な訳
飛び石など思わぬ事態によって、自動車のフロントガラスに傷がつくことがあります。 しかし頻繁に起きることではないので、修理など自動車について詳しくない人にとっては厄介な問題です。 そこで今回は、そんな自動車のフロントガラス交換の目安や費用、そして自分で交換するために必要なポイントを詳しく解説します。 「小さな傷なので、修理しないでいいだろう」と放置していると危険なので、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
意外とメンテナンスしない自動車のフロントガラス
自動車には大きく2つのガラスがあることをご存じでしょうか? 自動車の前方にあるフロントガラスは、普通の建物のガラスとは違って、割れてしまっても飛び散らないように作られています。 万が一、事故を起こしてしまってもドライバーに飛散しないように工夫されているので、安全性の高いガラスだと言えます。 それに対して、後部にあるのがリアガラスやサイドガラス。 これらには衝撃に強い強化ガラスが採用されており、かなりの強度を誇ります。 その他にも、紫外線を回避するUVカットの付いたガラスやスモークガラスがあり、どのようなガラスが使われているかは自動車によって異なります。 運転するドライバーにとって、フロントガラスは事故を回避するためにもとても大切なもの。 しかし、ワイパーで少し綺麗にするくらいで本格的にメンテナンスを行っているという人はそこまで多くないのが現実です。 日頃の汚れや傷が溜まったフロントガラスは、場合によっては交換する必要もあります。 ドライバーの安全を脅かさないように、定期的なメンテナンスが求められます。
■こんな症状が出たらフロントガラスを交換しよう
では、どのような症状が出たらフロントガラスを交換すべきなのでしょうか。 <飛び石による傷やヒビ> リアガラスやサイドガラスと違って郷土の低い合わせガラスであるフロントガラス。 道路を走行している際、飛び石などによって傷やヒビが入ることがあります。 特に高速道路や山道、田舎道を走っていると急に石が飛んできて驚いた経験がある人も多いのではないでしょうか。 案外気づかないこともあるフロントガラスの小さな傷ですが、安全性を考慮して傷を修理する又は交換が必要になることがあります。
■目安は500円玉の大きさ
車のフロント部分のガラスの交換が必要なのは、500円玉程度の大きなの傷がある場合です。 もし500円玉よりも小さな傷であれば、交換ではなくリペア(修理)で十分なケースがありますが、それよりも大きな傷の場合は基本的にガラスの交換が必要だと考えましょう。 ただしこれはあくまでも基準なので、例え500円玉よりも小さな傷であっても、傷の深さや場所によっては自動車のフロント部分のガラス交換が必要になるケースもあります。
■放置すると危険
「どこに交換を依頼したらいいかわからない」、「特に運転に支障はないし、交換費用は高いのでそのままでいいや…」など、日々の自動車の運転に目に見える大きな影響はないかもしれませんが、フロントガラスの傷やヒビの放置は非常に危険なので、ドライバーの方は注意してください。 <傷が悪化する> どんなに小さな傷やヒビでも、放っておくことで状態が悪化し、いずれフロントガラスの取り替えに発展することがあります。 例えば、スピードを出す高速道路での走行時、台風などの強風時の走行時など、フロントガラスの傷やヒビを甘く見ていると結果的に大きな損害へと繋がる可能性があります。 傷が広がると交通事故などに繋がるかもしれないので、どんなに小さなヒビでも油断せずに対処することが大切です。 <車検に通らない> 傷やヒビの大きさや場所によっては、走行するのに問題があると判断され車検に通らないなんてケースも良くあります。 修理や交換をすれば済むことだったのに、ちょっとした油断が大きな時間のロスの原因に。 いずれにしても、自動車の運転の安全性に大きく関わってくることなので、早めの対処が求められます。
■フロントガラスの交換方法
では、フロントガラスを交換するためにどのような方法があるか今から説明いたします。 自動車のフロント部分、前面ガラスの交換が必要な場合は、カーディーラーや自動車ガラスの専門店を利用するのが一般的な対処法です。 <新品での交換(純正品)> トヨタならトヨタの純正品、ホンダならホンダの純正品といったように、各メーカーから受注されて作られている純正品は高いクオリティーが最大の特徴です。 ただ、コスト面では決して優れているとは言えず、どうしても料金は上がる傾向にあります。 お金に余裕があり、純正品じゃないと嫌だという人にはおすすめです。 <リサイクル品での交換(純正品)> クオリティーは大切だけども、費用を抑えたいという人には純正品のリサイクル品がお奨めできます。 純正品なのでクオリティーには問題なく、費用も新品に比べたらお手頃ですが、あくまでもリサイクル品なので必ずしも状態が良いとは言い切れません。 場合によっては、傷やヒビを直すために新たにフロントガラスを購入したのにも関わらず、最初から傷やヒビが入っているなんてことも稀にあります。 リサイクル品を買う時は、値段だけじゃなくしっかりと商品の状態も考慮して判断したいものです。 <社外品での交換> 社外品のガラスは様々なメーカーから販売されています。 純正品よりもお得に入手できるのが最大のメリットです。 車検対応品などを扱っているような信頼できる店舗で買うのは良いと思いますが、場合によっては粗悪品もあるので商品の見極める力が必要です。 社外品を購入する場合は、後悔しないように実際に利用した人の口コミなどを参考にしましょう。 <外車のガラスも交換可能?> 読者の方の中には、ベンツなど外車を愛車としている人もいるのではないでしょうか? 外車なので、部品も外国から取り寄せないといけないのかなど、気になる点はあると思います。 業者によっては外車のガラスを取り扱っていないところもあるので、ガラス交換を検討している人は事前に相談してみることを推奨します。 また、フロントガラスにこだわりがある人も、一度問い合わせてみると良いかもしれません。
■フロントガラスの交換費用
フロントガラスの交換には多くの費用がかかるという印象を持っている人も多いかと思います。 ところで、本当のところいったい費用は幾ら必要か検証したいと思います。 メーカーのホームページを見ても、料金が記載されていないことが多く、多くの人が気になる料金。 フロントガラスの交換費用は、一概に「〜円」と言えないのが現状で、傷やヒビの状態などを考慮して個別に見積もらないとわかりません。 一般的にフロントガラスの交換で必要なものとして、フロントガラス代金と交換費用が挙げられます。 <なぜ、見積もりが必要?> 愛用している自動車の車種、年式、装備仕様などによってフロントガラスの金額は異なります。 あなたの自動車がどの種類のガラスを使っているのかによって、フロントガラス交換の各金額が決まるため、まずは、使っているガラスを把握して、交換ガラスは純正品なのか社外品なのか、国内品又は海外品など詳細を決めていきます。 そして、たくさんの業者があるので提示する金額もそれぞれでしょう。 提供するサービスによって、金額には差が出てきます。 ガラス交換の相場は一概には言い切れませんが、ここでざっくりと相場を言うならば「5.2万円〜9万円」程度でしょう。 この金額には、軽自動車や普通自動車も含まれます。
■フロントガラス交換には保険は適用されるのか
自動車を持っている人なら、万が一に備えて車両保険というものに加入している人もいると思います。 飛び石などによるフロントガラス交換には基本的に保険が適用されるので、車両保険にはコスト面での援助が期待できます。 また、保険よっては今まで使っていたフロントガラスよりも機能性の高いものに取り替えてくれるなんてこともあるようです。 でも車両保険が適用されると言っても、そんなに安い訳ではありません。 また、ディーラーや自動車ガラス専門店に依頼することで、修理や交換に時間がかかることも考えれます。 交換している間、車に乗れないのは不便など、業者に頼むのに何かしら抵抗がある人は、自分で交換することを推奨します。
■ピアノ線を使って自分でフロントガラスを交換!
「車が好きな人しかできない…」と思っている人は多いかもしれませんが、必要な部品とあるコツを習得できれば、大体の方ができる事が可能になります。 ここからは、フロントガラスの交換手順についての解説です。
それでは、詳しい内容は工程をおって順番に実践しいきましょう。 <手順その1:必要な道具を揃える> まず、フロントガラスを交換するにあたって道具なしではできません。接着剤、工具、施工道具、プライマーなどを用意します。 もし道具がないという人は、近所のホームセンターなどで購入できるかもしれないので、一度訪れてみてください。 また、接着剤の保管は直射での日光が当る事を回避可能な場所にしましょう。 <手順その2:フロントガラス取り外し> 愛用車のメーカー取扱説明書を参考に、カバーモールやワイパーを取り外します。 壊れないように慎重に行いましょう。 ガラス枠を縁取るモールは、冬場になると硬くなることがあるのでヘアードライヤーなどを使って暖めると作業の効率化に繋がります。 ここで、ガラス周辺にある塗面を脱着時の傷から保護するために、ガムテープなどを使ってマスキングを行います。 そして、ガラス側面に付いている接着剤を切り取りますが、ここでの重要なコツとしてはピアノ線を使うことです。 というのも、ガラスに付着している接着剤を切り取る場合、カッターなどを使ってもいいですが、シール材のカットなどカッターが使えない場所もあります。 そんな時は、安く手に入るピアノ線が大活躍するのです。 ピアノ線は、柔軟で接着剤を切断しやすいので自動車の前のガラス交換にはかなりの必需品で、細すぎても脱線しやすいですし、太すぎても使いにくいので、0.9ミリ程度が無難でしょう。 この太さでも何度か脱線すると思いますが、これ以上細いものだと何度も脱線してかなり面倒です。 また、これ以上太くなるとカットするのに不便なので0.9ミリが妥当だといえます。 ガラス全体の接着剤を取り除いたら、吸盤を使ってガラスを取り外します。 ガラスを取り外す際は、重いので十分に気をつけましょう。 このガラス取り外し作業が、一番大変な作業でもあります。 ちなみに、ガラスを取り外す強力吸盤は100均でも購入可能です。 <手順その3:ガラスの位置合わせ> サイズや種類を確認して購入したと思いますが、付ける前に再度大きさなど合致するのか確認します。 サイズや位置がわかったら、マスキングで保護しましょう。 <手順その4:ボディー側の下地処理> そして、プライマーという下地処理剤や表面処理剤として効果のある塗料を塗ります。 接着剤と表面との密着性を高めたり、表面を密に接着剤を馴染ませやすくする役割があり、プライマーは技術上の細工に欠かせない道具です。 もし、自動車のボディー側に新たに塗料をかけた場合も、塗料が完全に固まった後にプライマーを付けるようにしましょう。 <手順その4:塗面の傷を補修する> ガラスの取り外しの際にできた塗面の傷は、塗面用プライマーを使って補修します。 <手順その5:ガラス側の下地処理> 使う接着剤の種類によっては処理が必要。 接着箇所を乾燥させて、ガラス用プライマーを塗っていきます。 プライマーを塗ったら、5分以上置いて乾燥させましょう。 <手順その5:接着剤の準備> ガラス側の準備が終わったら、接着剤の準備を行います。 カートリッジやソーセージタイプなど、接着剤には種類があるので、自分の使っているタイプの取扱説明書を参考にしてください。 <手順その6:接着剤を塗る> ガラス側とボディー側それぞれに、接着剤を塗ります。 接着剤の形状を三角形にすると、塗りやすくて便利です。 <手順その7:ガラスの取り付け> ここまできたら、後は交換したいガラスを取り付ける作業です。 接着剤を付けたガラスは、なるべく早めにボディーに取り付けます。 ガラスがしっかりと付くように、取り付け位置にセットして軽く押します。 できるなら、作業中はサイドドアなどを開けておくと良いでしょう。 <手順その8:モールをはめ込む> モールをはめ込んだ際、はみ出した接着剤が固まる前に取り除きます。 接着剤が固まりやすくなるため、アルコールなどは使用しないようにしましょう。 <手順その9:接着剤を乾燥させる> 窓を開けて通気を良くして、接着剤が完全に乾燥するまで待ちます。 自動車を運転できるようになるまでの時間は、各自使った接着剤の取扱説明書を参考にしてください。 簡単な作業ではありませんが、新品に取り替えた前方のガラスは快適そのものです。 接着剤は完全に硬化するまでやや時間がかかるかもしれませんが、辛抱強く待ちましょう。 基本的には1日以上動かさず放置していれば、接着剤は十分に固まります。 また、走行する前に水道ホースなどを使って雨漏りしないか確かめることも大切です。 もし車内に水が漏れるようなら、もう一度モールを引き剥がして接着剤を塗る必要があります。
■フロントのガラス交換は自己責任で
フロントのガラス交換はあまり車に詳しくなくても、交換手順をしっかりと把握していれば問題なくできる作業です。 ただし、浸水など何か不具合が起こることもあるので、フロントのガラスを交換する場合はあくまでも自己責任で行うようにしましょう。
■小さな傷なら修理キットで解決
ちなみに、自動車の正面のガラスにできた1センチ程度の小さな傷であれば、市販の修理キットを使って簡単に直すことができます。 ただ、ポイントはあくまでも1センチくらいの小さな傷です。 それ以上大きくなると難しいので、正面のガラスにある傷の状態をしっかりと確認をする不可欠と言えるでしょう。 一般的な修理キットでは、ガラスの凹み部分に補修液を注入して加圧することで直していきます。
■まとめ
今回は、飛び石などによって傷ついたフロンのトガラスの交換についてご紹介しました。 小さな傷やヒビであっても、傷が広がったり車検に通らなかったりと、結果的に何かしら影響が出てくる可能性があるので、フロントのガラスの傷やヒビを発見した場合は早めに対処するようにしましょう。 そして、交換を決意した後は、自動車の車種や年代、ガラスの種類などを把握し、ディーラーや自動車ガラス専門店に幾らぐらいの費用になるのか詳細の見積もりをお願いすると良いです。 業者にお願いすると結構な費用になるので、少しでも交換の費用を節約したいという人や、ガラスに強いこだわりがある人などは、自分でフロントのガラスの交換を行うのも選択しの一つです。 そこまで難しい作業ではないので、DIYに興味のある人はぜひ試しては如何でしょうか。